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幻視する彼方 3

 
 投げつけた椅子は姿見の中央にぶつかり、鏡が割れる音が響き渡る。慌ただしい足音が階段を上がってきて、部屋の扉が音を立てて勢いよく開いた。
 入ってきた長身の男が、室内の光景にはっと息をのみ扉の側で立ち止まる。メロダークは今日も神殿軍戦士団の白いマントと甲冑姿で、ユールフレールに連れてこられて以来見飽きるほどに目にした姿なのに、彼がこの甲冑を着ていることに、いつも少しずつ傷つく自分に驚く。あの日、鐘楼から見下ろしたホルムの町には、同じ姿の兵士が溢れていて、神殿軍の正装をしたメロダークを見るたびに、彼が大事な故郷を戦火に巻き込む手引きをしたことを、焼けた家々や、もう戻って来ない死んだ人たちのことを思い出してしまう。
 男の方へ一歩足を踏み出せば、「動くな」と低い声で命じられる。
「何を考えているのだ? 素足で何を――待て――」
「メロダークさん」
 構わずにもう一歩を踏み出せば、鏡の破片が突き刺さる。足の裏に鋭い痛みを覚える。踵を上げた瞬間、音を立てて血がこぼれ、鏡の上に床の上に真っ赤な花を咲かせる。
 メロダークがこちらに駆け寄ってくる。
「馬鹿か!」
 罵り声とともに勢いよく脇の下に手を差し伸べられ、軽く持ち上げられる。そのまま寝台へ運ばれた。寝台の端に座らされる。布の破れる音がした。見ればメロダークがシーツの端を切り裂き、足の裏にあてがっている。
「待っていろ、今薬を持ってくる」
「祈ってください。私が癒されるように」
「知っているはずだ。この部屋で魔法が使えないのは」
 寝台の前に膝をついてしゃがみこんだ男の黒い髪に指をさしこむ。足の裏の傷から目をあげたメロダークに囁く。
「それでは、魔法が使えるところまで私を連れていってください」
「マナ……何を……」
「お願いします。私をホルムに連れていってください」
 腰を曲げて男の額に口づけする。狼狽を露わにした彼の目を覗きこみ、「お願いします」もう一度そう繰り返す。
「考えたのですが、差しあげられるものは私の体しかありません――こんなものしか――ホルムを離れてからずっと、一度も抱いて下さいませんでしたね」
「やめろ」
 言葉とは裏腹に、メロダークはつかまれた手を振り払おうとはしなかった。男の手首を握りしめたまま、寝台に仰向けに倒れこめば、不自然な体勢で男の体も引き寄せられる。寝台に両手をつき自分の顔を見下ろすメロダークはいつもの無表情な仮面をつけなおして一見すれば冷静さを取り戻したようで、ただその両目だけが光っている。
「お願いします。故郷のため世界のためと思っていましたけれど、ここに囚われているのはもう嫌なのです。いいえ、行く先はホルムでなくてもいい。ただ、あなたの側にいさせて下さい」
 細い腰帯を解き、長衣の脇の紐を外す。
「マナ」
「ずっと一緒に」
「禁じられている」
「神々は何も禁じてなどいません」
「お前を抱くことは……」
「私がそう望んでいるのです。あの人たちに叱られたら、そう言います。あなたは悪くない、私があなたを欲しがって暴れたのだと」
「いいか、マナ、この窓のある部屋も、私がお前の側に仕えて時折は話し相手となれるのも、バルスムス殿が軍を退く際に、イシヤ人の件の功績とあわせてお前の境遇について言い添えて下さったからだ。教団にあれほどの貢献をしたバルスムス殿の口利きですら、この程度の自由しか許されなかったのだぞ。私はいい。私などどうなっても構わない。ただ、こんなところを見つかれば……お前はまた……お前が……」
 脱ぎ捨てた衣を寝台の下に蹴り落とせばやけに軽く音が響いた。手を伸ばし男の頬をそっとなでる。
「あの日、あなたが私をユールフレールに連れ帰って幽閉すると告げた時、それでもいいと思いました。ホルムが助かって、災厄が終わり、自由を失うかわりにずっとあなたの側にいられるのならと。メロダークさん。あなただけ――私にはあなただけなのです」
 メロダークは答えない。露わになった女の体を、少女の頃よりも成熟し重みを増した肉体を食い入るように見つめている。両目を固く閉じ、食いしばった歯の間から唸るように声をだした。
「……けだ。俺にもお前だけ――」
 メロダークの手が動いた。伸びてきた指先が頬に触れ、汗で張りついた髪を払いのける。優しいその手つきに、息を吐き、瞼を閉じた。
 その言葉の意味を、この男はわかっていない。
 子供のようにただ真似をしているだけだ。天秤の片方に彼をのせ、もう一方に世界を置いて、それでも釣りあう重みの意味を、天秤を持つ手の痛みを、考えたことなどありはしないのだ。
 だがそれがなんだというのだろう?
 固く抱けば固く抱き返され、頭も心もまっ白になる。
 言葉の意味などどうでもよくなる。あるのはこの感触だけだ。満たされた心だけだ。ほんの一瞬、すべてを忘れ、幸福だけが波のように体を洗う。

 すべてが終わったあと、赤く汚れたシーツを見て、笑った。足の裏の傷からはまだ血が滲みでている。痛かったけれど、なんだかおかしかったのだ。ホルムの遺跡で怪物や邪悪な太古の生き物を相手にしていたその頃よりも、こうして幽閉されてからの方が、心も体も繰り返し傷つき血を流している。ここは大河神殿の総本山だというのに。いや、自分が古代の皇帝のための器ならば、神々が罰を与えようとたくらむのも当然で、神官に心を捧げ血を流し進んで体を開くこの光景が、他より一段己に近い聖められたこの場所で繰り広げられることに、大神は満足しているのかもしれない。だが、こうして体を重ねられたことを最も喜んでいるのは他ならぬ自分自身なのだ――このように歓喜を与える罰があるだろうか?
 そういった諸々に皮肉な面白さを感じたのだが、口に出すとまたメロダークを悲しませるような気がして、口をつぐみ、ただ微笑する。横たわったままのメロダークは微笑みを返してはくれない。じっとこちらを見つめている。久しぶりに心の底から幸福な気持ちでいるため、その眼差しの暗さも気にならない。一年前のあの夜、メロダークに手をとられ、フードを目深にかぶせられて地下の部屋を出た時以来だ。あの時は逃げ出さないようにまじないのかかった首輪をはめられ、その鍵はメロダーク以外の人間が持っていたが、それでも数年ぶりに階段を上がり外の空気に触れた瞬間、頬にあたる風と柔らかな緑と土の匂いに涙を流したものだった。
 けれども、あの時よりも今、この瞬間の方が幸せだ。
 愛している。
 ホルムで出会った最初より、迷宮を一緒に旅したあの頃より、小舟に揺られながら遠ざかっていく神殿とホルムの町を見つめていたあの夕暮れより、ずっと、ずっと。
「わがままを言いましたね」
 幸福が胸を弾ませ、押さえきれない笑い声が漏れる。できるならこの人にも私と同じように笑ってほしいと思うが、それも自分のわがままなのだろう。
「わかっています、ここを出ることができないのは。ただ、今のように、時々でいいから、二人きりで――こうやって――私はそれだけで――」
 メロダークの手を握りしめれば、勢いよく男が起き上がった。彼の目に様々な感情があふれる。絶望と、嘲笑と、怒りと、喜びと、安堵と。唇が微かに動き「これでいい」と言った。力をこめて手を握りかえしてくる。
「お前をホルムに連れて帰ろう」
「メロダークさん?」
「私はずっと臆病だった。お前がここにいることを望んでいる、これ以外に道はなかったのだと……。バルスムス殿も、法王も、知ったことか。約束しよう、お前を連れてここを出よう。いつになるかはわからないが、十年、二十年先になるとしても、必ずホルムに――ホルムと呼ばれた土地に――お前を連れて戻ろう」




「テレージャ、低い地鳴りのようなあの音がきこえる?
 竈の中で炎が燃えるような――虫の羽音のような――何よりもアークフィア大河の流れる音のようではない? ホルムの神殿の宿舎でね、自分の部屋の寝台に横たわれば、いつもあんな風に河の音がきこえたの。私はそれをききながら、ああ、今日も大河は流れていて、アークフィア様が私たちを見守っていてくださるんだな、そう思いながら眠りについたのよ。
 ここに来るまえに、大聖堂は見た?
 私は一度も見たことがないのだけれど……この小部屋のずっと下に、天井の高い、吹き抜けの、二階と三階の回廊にまでぎっしりと人が座れるような、隙間なくびっしりと積まれた石がいくつもの美しいアーチを描く、立派な大聖堂があるのでしょう?
 毎日、朝と夕方に、聖堂では礼拝が行われるの。
 大神殿に勤める人たち、聖職者も僧兵も、市場で働く人も、掃除係も、大学の学生たちや教授たちまでみんなが出席するのよ。ホルムの町の人全部をあわせたよりも、この聖堂に集まる人の方が数が多いんじゃないかしら。ねえ、そうやってみんなが聖堂に集まってね、立ったり座ったり、低い声でおしゃべりしたり咳払いしたり、彼らが立てる音がこの最上階の小部屋に届くときには、こんな大河のさざ波のような音になるの。もちろん礼拝に来ているんですから、一人一人は静かにしようと思っているのよ。学生さんは違うかもね――小さい子のなかには、エンダのようにじっとしていられない子がいるかも――少しは例外として目をつぶるとして、たくさんの人が集まって、みんな静かにただ神々と向き合おうと思っているのに、こんな風に扉を震わせるような騒音が生まれてしまうの。私ね、テレージャ、神々を讃えるために人々が大勢集まるのは、大声で歌を歌うのは、わざとうるさくするためなのかなと思ったの。自然の音に負けないように騒々しい音を立てて、小っぽけな自分たちに神々の注目を集めるため――。
 私は神様じゃないわ。でもね、毎日、毎日、朝と夕方に、こうやって足元から音が湧きあがってきてこの小部屋を揺らすたびに、なんだか不思議な気持ちになるの。潮が満ちて舟が浮かび上がる瞬間のように、体がふわっと持ちあがるように感じて、一瞬、すべてを忘れてしまう。幽閉されているんじゃなくて、ホルムの神殿に……ううん、人々の祈りに押されて魂が体を離れて、時間も場所も、もっと別のところにいるような、そんな気持ちに……」




 暴れて壊した姿見は翌日にはこの狭い部屋から運びだされ、代わりの鏡は与えられない。メロダークは言う。暴れたりせずに大人しくしていろ、お前の体と心がもう限界に達しかけていると言う、もっと別の場所に移してもらうように上に掛け合って、移動することが決まればその時に隙をうかがい、一緒に逃げようと。
 肝心なところでいつも詰めが甘いこの人を信じるしかないから、頷き、その時が来るのを待つ。大人しく待つ。もう以前のように、木の扉を叩き、爪を立て、半狂乱でここから出して、そう叫ぶような真似はしない。大声で泣きながら、昔の仲間の名前を呼ぶこともしない。寝台に腰かけて静かに足の裏の傷をさすり、温かく抱擁された感触を思い出し、その傷も段々とふさがって痛みも消えていき、そしてあの日がやってくる。
 尖塔の最上階に隠されたこの小部屋まで、波の音のような礼拝の音が響き、それを割って近づいてくる重い足音は複数の人間の物で、おかしいなと思う。今日はメロダークが衛兵として見張りを勤める日のはずだ。指を折ってどこかで数え間違えたのかなと思う。扉が開く。




 赤い目を見張る私は、いいえ、私の見る夢の中で小娘のようなあなたは、なんと愚かなのだろう。

 あなたはその知らせを信じようとしない。
 証拠を見せろという。




 銀の盆にのせて銀の蓋で覆われたその証拠がやってくる。
 そんな悪趣味なことをよくも思いついたものだ、その無造作な悪意。
 怖い、怖い、とても怖い。
 夢の中の出来事のように、体が言うことをきかない。自分の腕が勝手に動き、白いその腕を伸ばせば爪が銀の蓋にぶつかってかちりと音を立て、しかし次には指がしっかりと蓋の取っ手をつかみ、戸口に立った神官たちの冷ややかな視線を浴びながら、これがあなたのわがままの報いなのですよ、タイタスの器よ、あなたに決して害を為さぬよう彼は最期まで嘆願して、時刻は夕暮れ、足元からは神々を讃える人々の歌声が湧きあがり、小部屋を揺らし、空気を満たし、ああそうかこの結末を神々が喜んでいるのか、銀の盆の上、血はすでに凝固して、こちらを眺める表情のない顔と黒い目が恐ろしい。後悔と恐怖で口の中が苦くなる。




 夢の中で優しいあの人の声が囁く。
「助けに来る、必ずだ」
 駄目だ、絶対に駄目だ、そんなことをしてはいけない、お願いだから私には構わないで。
 割れた鏡の中を覗きこめばまた別の世界がそこにあり、夢の中の夢のように無数に現実が連なり、どんな時でも愛していた、いつでも愛している、愛は時には憎しみのような形をとり、血を流すこともあれば流されることもあって、それでも愛しあっていた――。




 あなたは細い窓から外を眺めている。眼下にはユールフレールの美しい石造りの町並みが広がっている。整備された広場と公園、あなたの幽閉された大神殿から放射状に伸びた大きな通りを歩く人々の小さな影。そのむこうに見えるぎらぎらとした輝くものは慣れ親しんだアークフィア大河ではない、あれはユールフレールの海だ。背後で扉が開く音がする。彼女の訪問を前もって知らされていたあなたは驚かない。振り返ることすらしない。来客にそなえ、部屋の中には何枚もの薄い垂れ幕が垂らされた――あなたの姿を隠すためのものだ。あなたはいつもの簡素な麻の長衣ではなく、まっ白な美しい、高貴な身分の人が着るような薄衣を与えられている。あなたはなるべく来客には近づかないように言われている。彼らはあなたの存在を外部に知られることを、何よりも恐れているのだ。あなたは前もって、何を話しては駄目で、何を話してもいいのかを教え込まれている。もしもそれを破れば、客人にも不幸がふりかかるだろう――そう、かつてあなたの恋人ともいえるあの僧兵に起こったのような、とても不幸な出来事が。
 もっとも突然の来訪であったとしても、あなたは驚かなかっただろう。近頃では何を見聞きしても心が平静で、一時期のような嵐のような激しい嘆きと悲しみが嘘のようだ。しかしこれでは、あなたの気まぐれなわがままのために命を落としたあの僧兵が、あまりにも哀れではなかろうか。そのような脆い心持ちで、彼を本当に愛していたといえるのだろうか。あなたはもっと罰を受けるべきではないだろうか?
 背後で静かに息を吐く気配がある。
「マナくん?」
 十年の歳月を越えて、テレージャの声が耳に響く。
 懐かしく優しいその声にあなたはふりむき、目が合い、「お久しぶりですテレージャさん」、そのように挨拶する。テレージャは歳をとった、しかし美しく歳をとったと思う。彼女は冷静な視線で室内をぐるりと観察し、またあなたを見つめる。幾重にもかかった布越しであるにも関わらず、その視線はあなたをまっすぐに射る。軽く咳払いしてから、テレージャが言う。
「――久しぶり。きみにまた会えて嬉しいよ」
 その声には十年前と変わらぬ愛情と憐憫の情があふれており、あなたの胸は突如こみあげてきた熱いものでいっぱいになる。
 しかし考えてみたまえ、思いだすといい、彼の末路のことを。
 あなたは彼女の愛情を受けるに値するような人物なのだろうか? だからあなたは、テレージャ、そう叫びそうになる気持ちを、駆け寄りたくなる両膝を無理やりおさえこみ、彼女には再び背をむけて、窓の外を眺めながらつぶやく。
「ようこそ、テレージャさん」
 とまどったような沈黙が流れ、しかしテレージャはすぐに気を取り直す。
「マナくん――元気だったかね?」
「私もです、テレージャさん。お元気でしたか?」
「元気じゃなかったよ。きみが突然姿を消してから……あれ以来みんな……ああ、いや、失礼、ホルムのことは話さないように言われているんだ。どうせこの会話の一部始終だって、どこからか覗き見されているんだろうよ。だからきみも観念して、私にホルムに関することは質問しないでくれたまえ」
 布が擦れる音がする。テレージャの静かな声が響く。
「マナくん、そっちへ行くけどいいね?」
「あの――あなたにはあまり近づかないようにと――」
 テレージャが軽く舌打ちして、堂々とした声で宣言する。
「馬鹿だな。久しぶりに友人に会うのに、こんな布越しに会話なんてできるものか」
 あなたは思わず微笑する。あの頃も今も、この人にはかなわないな、と思う。
「そういえばきみを連れていったメロダークの野郎はどうしてるんだ?」
 その名前をきいてびくりとする。あなたの視線は窓際に置かれた小卓に、その上に載せられた銀の盆とそれを覆う蓋の上に滑り落ちる。
 怖い。この盆にはとても怖い、けれどもとても大事な物が載っている。近づいてくるテレージャに背をむけまま、あなたはゆっくりと語りはじめる。
 去ってから別れてから囚われてからの、あなたと、彼と、恋と、この悪い夢のような日々を。

 こんなことが以前にもあったような気がする。
 永きに渡る苦痛、冷めない悪夢、恋に落ちた近衛の兵士、盆に載せ覆いをかけられ運ばれてきた男の首――。
 あの死者の宮殿で、皇女を名乗る人物が、このような物語をあなたに語らなかっただろうか? 砕け散ったいくつかの世界の中で、あなたはこのような物語を耳にしなかっただろうか?




「どうかこの夢を終わらせてください」
 そう言いながらあなたは銀の蓋に手をかけて持ち上げる。
 一度下げられた生首は、あなたの熱心な嘆願によって再び運ばれてきた。そこには肉と血を取り去った清潔な頭蓋骨が載っている。神殿軍の忠実な兵士、不忠を働きたる大罪人となった男の骨を虜囚の身であるあなたが所持できることになったのは、彼に身寄りがなく、骨だけでも一緒の墓に埋めてくれという、彼の望みがあればこそ――。




 部屋の戸口に立ちすくんだあなたが、赤い目を見開き白い髪を揺らし、不安を隠しきれない様子であなたを見つめている。銀の蓋を手にそっと微笑む。大丈夫よ、これはただの夢のお話。いくつもいくつもに砕けた、何百、何千とある鏡の中の世界の一つにすぎない。どうかこの夢から目を覚まして。そしてあの人に伝えて。あなたのことを愛していると。

 伝えたあとは鏡を割って、ひとつひとつ、どれひとつ同じ形のない、そのすべてにどれひとつ違うことのない私の罪に溢れた、この悪夢を、この世界を、この私を、どうか粉々に壊してちょうだい。



end

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