寝台がきしんだ。
温かいぬめりを帯びたものが指先に絡みつき、四方へ散っていた意識がゆっくりと戻ってくる。涙で曇った目を開けば、マナの上にのしかかったメロダークが、少女の右の手をつかみ、口中にそれを含んでいた。マナの掌を舐めながら、あちこちを甘く噛む。指の付け根がきゅうっと切なくなるようで、
「んっ……は……」
吐息と一緒に声が漏れた。
こんなところまで気持ちがよくなることに狼狽したが、もう体を縮こまらせることはせず、唾液と、おそらくは自分の愛液に濡れた舌が、ぴちゃぴちゃと皮膚とぶつかる音に耳をすませていた。彼の言葉がうまく聞き取れなかったのは、頭が痺れているのと、二人の呼吸がひどく荒いせいだ。なんて言ったの、小さな声でそうききかえすと、
「手まで小さい」
口中に含んだ小指の関節を軽く噛んだ歯の間から、不明瞭な声でメロダークが言った。熱い舌が絡みつき、指の形を探るように動いている。
「駄目」
「何がだ?」
「何って、へ……変なこと……それ」
「どれだ」
「あの、な、舐めるの。あなたが今。気持ちいい……つ……爪も気持ちよくて……変……だから駄目」
親指と人差し指の股をしゃぶりながら、メロダークが目をあげた。顔を背けると、顎をつかまれ、無理やり上向かされた。火照った肌は涙と汗と涎でべたつき、乾いたところがひりひりと痛む。顔が苦しげに歪んでいるのが自分でもわかる。
「感じている」
冷静な声でそう指摘され、目をそらせばまた顎をつかまえられ、無理に男の方に顔を向けさせられる。
「いやらしい顔だ」
低い声で囁かれ、泣きたくなった。
「どこで感じた?」
「……わ……わからない……です」
「ここか?」
再び腿の間に滑りこんできた手が、敏感になりきった場所をくすぐった。
「あっ……やだ……」
「こちらか?」
腰が跳ね、マナは男の手首を押さえたが、かえって手の動きは荒々しさを増した。
「感じている。俺の手で」
メロダークの声はひどく満足気であった。
「メロダークさんも……あの……かん……感じて――」
一方的に翻弄されているのが悔しくなり、仕返しするつもりでそう言ったが、「とても」とさらりと肯定されてしまい、かえってそんなことを指摘した自分が恥ずかしくなる。なんだか不公平だ。
「意地悪」
そう囁くと静かに笑われる。
唾液に濡れた右手をつかみなおされ、男の下腹部へと導かれた。